タイ人材採用で使う採用媒体は何?

タイでは、様々な採用媒体があります。代表的な媒体としては、求人サイト、人材紹介会社、SNS、社員紹介など、採用に使えるチャネルは多岐にわたりますが、すべてを一律に使えばいいというわけではありません。
採用活動において「どの媒体を使うか」は、実は採用成功の可否を大きく左右する重要なポイントです。
それぞれの媒体ごとに「集まる人材の層」が異なります。それゆえ、採用する人材の層に応じて、媒体を使い分けないと、人材募集のミスマッチが発生します。
たとえば、マネージャー層を採用したいのに求人サイトだけで募集しても、なかなか適切な人材は集まりません。また、新卒採用に人材紹介を使えば、コストに見合った成果が得られにくく、効率の悪い採用になってしまいます。
採用したい人材の層によって、使うべき媒体は異なる――これが、採用成功における前提条件です。
本記事では、採用媒体ごとの特徴と、どのような人材を採用したい場合にどの媒体を選ぶべきかを整理し、限られたリソースの中で効果的に採用成果を出すための「媒体の使い分け」戦略を解説します。
1. タイにおける主要な採用媒体
タイで人材を採用する際には、複数の採用チャネルが存在し、それぞれに強みと向き不向きがあります。
ここでは、タイ国内で一般的に使われている主要な採用媒体と、その代表的な例を整理しました。
採用ターゲットや職種に応じて、どの媒体が最適かを見極める参考にしてください。
媒体 | 代表的な例 |
---|---|
オンライン求人広告 | JobDB、JobThaiなど |
人材紹介会社 | RCX、Personnel、Adeccoなど |
リファーラル(社員紹介) | 社内報奨金制度など |
SNS | Facebook、LinkedInなど |
ジョブフェア | 就職イベント・大学主催のイベントなど |
2. 各媒体の特徴と狙いたい人材層
採用媒体ごとに、得意とする人材の層や活用時のコスト・労力には大きな違いがあります。
ここでは、タイの代表的な媒である、オンライン広告、人材紹介、リファーラル、SNSの4点について、特徴やメリット・デメリットを整理しながら、どのような採用に適しているのかを具体的に解説していきます。
媒体選びの参考として、ぜひご活用ください。
オンライン求人広告
オンライン求人広告は、最も一般的かつ手軽に利用できる採用手段のひとつです。
コストを抑えつつ、多くの応募者へリーチできる点が特長ですが、媒体の特性を理解したうえでの活用が求められます。
採用できる層:スタッフ~ミドル層
費用:低い(1ポストにつき、数千バーツ)
社内工数:大きい(大量に応募があることが多く、スクリーニングや面接設定などが必要)
代表的な媒体:JobsDB、JobThai、Wakuwaku
- 人材を広範囲から広く集めることができる
- スタッフからミドル層まで幅広く集めることができる
- 人材が過剰に集まる可能性があり、選考や面接設定に社内の工数がかかる
- 専門職やマネージャー層の採用は難しい
人材紹介会社
専門職やマネージャー層など、即戦力となる人材を効率的に採用したい場合に有効な手法です。
社内の採用リソースが限られている企業にとっては、選考・調整業務をアウトソースできる点でも魅力がありますが、留意点としては費用が非常に高いところです。
採用できる層:ミドルからマネージャー、専門職
費用:非常に高い(人材の年収の20%〜になることが多い)
社内工数:小さい(人材紹介会社が書類選考・面接設定・オファー交渉などを対応する)
代表的な媒体:RCX Recruitment, Personnel, JAC, RGFなど
- 人材紹介会社のネットワークを活用して専門職やマネージャー層を効率よく採用することができる
- 書類選考・面接設定・オファー交渉などを委託でき、社内の工数を減らすことができる人材を広範囲から広く集めることができる
- 費用が高い(採用する人材の年収の20%〜になることが多い)
- 採用した人材が早期退職した場合、手数料が無駄になってしまう
リファーラル(社員紹介)
社員の人脈を活用する、最もコスト効率の高い採用手法のひとつです。
社員が推薦する候補者は自社理解も高く、早期離職のリスクが低い傾向があります。
採用できる層:全人材層
費用:低い(報奨金程度)
社内工数:低い
代表的な媒体:自社の社員
- 自社をよく知る社員による採用活動なのでミスマッチが少ない
- 報奨金以外は基本的に無料で採用できる
- 社員の人脈に依存してしまう
- 採用可能な人数に限界がある
SNS
FacebookやLinkedInなどのSNSを活用した採用は、低コストで幅広い人材にリーチできる手法として効果的です。
特にスタッフ層からミドル層にかけて、スピーディーに候補者を集めたい企業に適しています。
採用できる層:スタッフ~ミドル層
費用:低い(多くが無料)
社内工数:大量に応募があることが多く、スクリーニングなどの工数が大きい
代表的な媒体:Facebook、LinkedIn
- 低コストで募集可能
- スタッフからミドル層まで幅広く集めることができる
- 求人広告同様、人材が過剰に集まる可能性があり、選考や面接設定に社内の工数がかかる
- 専門職やマネージャー層の採用は難しい
3. 媒体選定のポイント①:人材のポジションレベル
以下の示されている通り、ポジションが上位になるほどスキルや経験の専門性が高くなるため、マッチ度や信頼性を重視した媒体(人材紹介やリファーラル)の活用が重要となります。
一方、スタッフ層や新卒層といった比較的ポテンシャル重視のポジションでは、求人広告やSNSなどを活用し、費用をかけずに幅広い母集団形成と効率的な採用が可能です。ポジションごとの特性に応じて、最適な媒体を選定することが採用成功の鍵となります。
【ピラミッド構造に見る媒体の選定】
- マネージャー層(高スキル人材)
人材紹介/リファーラルが有効。精度と信頼性が重視されるため、求人広告は一般的には不向き。 - ミドル層(SVや経験者層)
求人広告/人材紹介/リファーラルの併用が効果的。媒体の幅が広がる層。 - スタッフ層(新卒や低スキル人材)
ジョブフェア/SNS/求人サイト/リファーラルなど幅広く活用できる。とくにSNSやジョブフェアは大量採用にも向いている。

4. 媒体選定のポイント②:費用と社内工数
採用媒体を選ぶ際は、「費用」と「社内工数(リソース)」のバランスが重要です。
たとえば、人材紹介は費用はかかりますが、社内の負担を大きく軽減できます。
一方、求人サイトやSNSはコストは抑えられますが、スクリーニングや面接設定に大きな手間がかかります。
自社の採用体制や目的に応じて、最適な媒体を選ぶことが成功の鍵です。

5. まとめ
採用活動において、「どの媒体を使うか」は成功を大きく左右する重要な要素です。
ターゲットとなる人材層やポジションによって、適切な媒体は異なります。
媒体選定を誤ると、いくら費用や時間をかけても採用に結びつかない可能性があります。
また、媒体ごとに費用と社内工数のバランスも大きく異なるため、目的に応じた使い分けが必要です。
自社の採用体制やリソースに応じて、最適な媒体戦略を立てることが採用効率の最大化につながります。
「誰を、どのように採用するか」を明確にし、媒体の特性を活かした選定が成功への近道です。
