過去最低の失業率の実態は!?
今回は、『過去最低の失業率の実態は!?』について記載しております。
前回のメールマガジンでは、フィリピンにおける失業率が過去最低の3.1%に下がり、
求職者有利の超売り手市場になっているということをお伝えしました。
今回は、失業率も含めたフィリピンの雇用統計を少し深堀りしていきます。
<情報ソース>
Philippines Statistics Authority
1.失業者の内訳
フィリピンの労働市場は、2023年12月に過去最低の失業率3.1%を更新し、歴史的な水準で超売り手市場となっております。
しかしながら、失業者の内訳を見ていくと興味深いことが分かります。
失業者を産業別に内訳を見ていくと、割合は以下の通りとなります。
<各産業に占める失業者数の割合>
1次産業(農業など)・・・・・37.8%
2次産業(工業・建設など)・・16.1%
3次産業(サービス業)・・・・46.1%
さらに年代別に見ていくと、割合は以下の通りとなります。
<年代別に占める失業者の割合>
15 – 24歳・・・35.4%
25 – 34歳・・・37.9%
35 – 44歳・・・12.4%
45 – 54歳・・・8.3%
55 – 64歳・・・5%
65歳以上 ・・0.9%
失業者の7割以上が34歳以下に集中しており、全体の失業率が3.1%であることに対して、
24歳以下の失業率は、8.2%と高く、若年層が相対的に仕事が見つかりにくい状況にあります。
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2.雇用形態
続いて、どのような雇用形態で働いているかについて見ていきます。
雇用形態別の雇用割合を見ていきますと、以下の通りとなります。
<雇用形態>
1.民間企業勤務 ・・・・・・・・・・49.2%
2.自営業者(有給の社員なし)・・・・・27.4%
3.政府機関勤務・・・・・・・・・・・8.8%
4.家族のビジネスの手伝い(無給)・・7.8%
5.民間家庭勤務・・・・・・・・・・・4.2%
6.家族のビジネスの雇用主・・・・・・2.1%
7.家族のビジネスに勤務(有給)・・・0.4%
さらに興味深いデータとして、勤務時間別における雇用割合の内訳を見ていきます。
<勤務時間>
・週40時間以上勤務・・・・・31.9%
・週40時間未満勤務・・・・・67.5%
・他・・・・・・・・・・・・0.7%
上記によると、全体の49.2%が民間企業に雇用され、民間企業が雇用創出に最も寄与していることが分かりました。
続いて、自営業が全体の27.4%の雇用創出に寄与していることが分かりました。
職種としては、フリーランサー・タクシードライバー・芸術家、コンサルタントなどが該当します。
ただし、勤務時間を見てみると、全体の7割近い67.5%が週40時間未満の勤務となり、
非正規雇用・不安定な自営業者が多いということが推測されます。
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3.産業別の雇用人数
失業率が3.1%ということは、96.9%の人は何らかの仕事に従事していることになります。
(フィリピン統計局によると、2023年12月のフィリピンにおける就業人口は、5,025万人とされております)
では、どんな産業がフィリピンにおいて雇用創出を牽引しているのでしょうか。
産業別の雇用割合を見ていきますと、以下の通りとなります。
<1次産業>
農業・林業 ・・・21.4%
漁業・水産業 ・・・3%
計:24.4%
<2次産業>
建設 ・・・・・・10.1%
製造・・・・・・・7.5%
鉱業・・・・・・・0.4%
電気・ガス等他・・0.3%
計:18.3%
<3次産業>
卸売・小売業・・・・・・20.3%
物流・倉庫・・・・・・・6.9%
その他のサービス活動・・6.1%
行政・防衛;・社会保障・・5.8%
宿泊・飲食・・・・・・・5%
行政・支援サービス活動・4.6%
教育・・・・・・・・・・3.3%
医療・社会福祉・・・・・1.3%
情報通信・・・・・・・・1.1%
金融・保険・・・・・・・1.1%
芸術、娯楽・・・・・・・0.7%
専門・科学・技術・・・・0.6%
不動産・・・・・・・・・0.5%
計:57.3%
フィリピンにおいて最も雇用を生んでいる産業としては、農業・林業であり、全体の21.4%を占めております。
続いて、小売・卸売業が20.3%、建設業が7.5%を占めております。
上位3つの産業で全就業者の半分(49.2%)を占めていることが分かります。
まとめ
今回のメールマガジンでは、フィリピンの雇用統計を産業別、雇用形態別、失業者の内訳にわたって見てきました。
フィリピンの失業率は、過去最低の3.1%となり、雇用市場は数字上、非常に好調です。
しかしながら、全就業者のうち、全体の7割近い67.5%が週40時間未満の勤務となり、
不安定な雇用形態が多いのが実態となっております。
また、失業者は若年層に集中しており、若者の雇用課題が依然として存在しています。
数字上は、過去最低の失業率が発表されているものの、
雇用市場の実態はまだまだ課題がありそうなのがフィリピンの現状と言えそうです。