タイの採用媒体の選び方|求人サイト・人材紹介・SNSの使い分け完全ガイド

タイで優れた求人票を作成しても、それだけで応募が殺到するわけではありません。多くの日系企業は採用媒体の選定に課題を抱えています。実は、媒体によって集まる人材の層が大きく異なることをご存じでしょうか。
「マネージャー層を採用したいのに求人サイトだけに頼っている」「スタッフ採用なのに高額な人材紹介を使っている」——こうした媒体と採用ターゲットのミスマッチが、採用活動の効率を大きく下げています。
本記事では、タイにおける主要な採用媒体5種類の特徴と、ポジション別の最適な使い分け方を詳しく解説します。採用責任者の方が明日から実践できる具体的なアクションもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事は、RCXのYouTube動画の内容をもとに再構成したものです。
採用媒体選定で最も重要な視点とは
採用媒体とは、求人サイト、人材紹介会社、SNS、社員紹介(リファラル)、ジョブフェアなど、候補者を集めるための手段全般を指します。これらは単なる「求人の掲載場所」ではなく、それぞれ異なる人材層にリーチする戦略的ツールです。
多くの日系企業が陥りがちなのが、「なんとなく」媒体を選んでいる状態です。例えば、前任者が使っていたから同じ媒体を継続している、営業担当に勧められるまま契約している、といったケースが少なくありません。
しかし、採用媒体選定で最も重要なのは「採用したい人材の層」と「媒体の得意領域」を一致させることです。ある媒体はスタッフ層に強く、別の媒体はマネージャー層や専門職に強いといった明確な違いがあります。
この使い分けができていないと、せっかく良い求人票を作成しても、ターゲットとする候補者に届かないという事態に陥ります。逆に、適切な媒体選定ができれば、採用コストと社内工数の両方を最適化しながら、質の高い人材を効率的に採用できるのです。
タイの主要採用媒体5種類を徹底比較
タイで日系企業が活用できる採用媒体は、大きく5つのカテゴリに分類できます。それぞれの特徴、コスト構造、得意とする人材層を理解することが、効果的な採用活動の第一歩です。
以下の表で、各媒体の基本的な違いを整理しました。
| 媒体種類 | 主なターゲット層 | 費用水準 | 社内工数 |
|---|---|---|---|
| 求人サイト | スタッフ〜ミドル層 | 低い(4,000バーツ〜) | 大きい |
| SNS(Facebook等) | スタッフ〜ミドル層 | 無料 | 非常に大きい |
| 人材紹介 | ミドル〜マネージャー層・専門職 | 高い | 小さい |
| リファラル(社員紹介) | 全層対応 | 非常に低い | 小さい |
| ジョブフェア | 新卒〜スタッフ | 中程度 | 中程度 |
この表から分かるように、費用が安い媒体ほど社内工数が大きく、費用が高い媒体ほど工数が小さいという傾向があります。また、ターゲット層との相性も媒体によって明確に異なります。
次のセクションから、各媒体の詳細な特徴とメリット・デメリットを見ていきましょう。
媒体別の詳細解説:特徴とメリット・デメリット
1. 求人サイト(JobsDB、JobThai等)
タイの代表的な求人サイトにはJobsDBやJobThaiがあります。JobsDBには2万件以上の求人が掲載され、600万人以上の求職者が登録しています。
求人サイトの利用方法はシンプルです。サイトと契約して求人を掲載すると、求職者が検索・閲覧して応募してくるという仕組みです。スタッフからミドル層の採用に適していますが、マネージャーや専門職の採用には向いていません。
なぜマネージャー層が集まりにくいのか? 理由は、マネージャーや専門職は日常業務が多忙で、何万件もの求人を自分で検索して応募する時間的・心理的余裕がないためです。彼らは後述する人材紹介会社を通じて転職活動を行うことが一般的です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット | 掲載コストが低い(1求人4,000バーツ〜)/幅広い層にリーチ可能 |
| デメリット | 応募要件を満たさない候補者も多数応募/書類選考・面接設定の工数が大きい |
| 適正な採用ターゲット | スタッフ〜ミドル層 |
求人サイトは費用は安いが社内工数は大きい媒体であることを理解し、選考プロセスを効率化する体制を整えておくことが重要です。
2. SNS(Facebook等)
タイではFacebookを活用した採用が意外に機能しています。職種ごとに転職希望者が登録しているグループ(会計職、エンジニア、営業職など)が存在し、そこに求人を投稿することで候補者からコメントやDMが届きます。
その後、候補者とメッセージをやり取りし、履歴書を受け取って書類選考に進むという流れです。基本的に無料で利用でき、職種ごとにターゲットを絞った集客が可能というメリットがあります。
一方で、グループの検索・投稿・個別対応にかなりの時間がかかるため、専任の担当者がいないと運用が困難です。求人サイトと同様、集まるのは主にスタッフ〜ミドル層で、マネージャー層や専門職の採用には不向きです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット | 費用がかからない(基本無料)/職種別グループでターゲティング可能 |
| デメリット | 運用工数が非常に大きい/専任担当者が必要 |
| 適正な採用ターゲット | スタッフ〜ミドル層 |
3. 人材紹介会社
RCXグループのような人材紹介会社は、候補者の獲得から書類選考、面接設定、さらにはオファー交渉まで、採用プロセス全体をアウトソースできるサービスです。
人材紹介が真価を発揮するのは、ミドル層からマネージャー層、専門職の採用です。前述の通り、マネージャーや専門職は求人サイトを自分で検索するのではなく、人材紹介会社に希望条件を登録しておき、マッチする求人が出たら紹介を受けるというスタイルで転職活動をしています。
人材紹介会社を活用することで、自社では接触しにくい優秀な人材にアプローチでき、かつ採用プロセスの大部分を代行してもらえるため、社内工数を大幅に削減できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット | マネージャー・専門職にリーチ可能/採用プロセスを代行してもらえる/社内工数を大幅削減 |
| デメリット | 紹介手数料が高い/早期退職時のリスク/担当者の質に依存 |
| 適正な採用ターゲット | ミドル層〜マネージャー層・専門職 |
費用は他の媒体より高額ですが、採用難易度の高いポジションや、社内リソースに余裕がない場合には非常に有効な選択肢です。
採用プロセス全体の設計について詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。

また、最終段階のオファー交渉については、別途こちらの記事で詳しく解説しています。
これらの記事と合わせて読むことで、採用媒体選定から内定承諾までの一連の流れがより明確になるはずです。
4. リファラル(社員紹介制度)
リファラルとは、自社の社員が友人や知人を候補者として紹介する採用手法です。社員が「この人なら自社に合う」と判断して紹介するため、ミスマッチが少なく定着率が高いという大きなメリットがあります。
リファラルは全ての階層に対応可能です。マネージャーがマネージャーを紹介することもあれば、スタッフがスタッフを紹介することもあります。報奨金を設定しなければ基本的に無料で、設定したとしても人材紹介会社より大幅に安価です。
ただし、社員の人脈に依存するため、紹介される人数には限界があります。リファラルだけで全ての採用ニーズを賄うことは現実的ではなく、他の媒体と組み合わせることで効果を最大化できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット | ミスマッチが少ない/定着率が高い/費用が安い(報奨金設定も人材紹介より低コスト) |
| デメリット | 社員の人脈に依存/紹介人数に限界がある |
| 適正な採用ターゲット | 全階層(ただし採用数には限界) |
5. ジョブフェア
ジョブフェアは、オフラインの転職イベントです。会場にブースを出展し、来場した求職者と直接対面で話す形式で、タイでは大学や民間企業主催のジョブフェアが定期的に開催されています。
主に新卒からスタッフ層が来場するため、ミドル層以上の採用には向いていません。短期間で多くの候補者と直接会え、人柄や雰囲気を直接確認できる点が大きなメリットです。
一方で、ブース準備や当日の人員配置など、ある程度の社内工数が発生します。費用はそれほど高額ではなく、新卒・若手スタッフを複数名採用したい場合には有効な選択肢となります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット | 短期間で多数の候補者と対面可能/人柄・雰囲気を直接確認できる |
| デメリット | ブース準備・当日運営の工数が必要 |
| 適正な採用ターゲット | 新卒〜スタッフ層 |
ポジション別・最適な媒体の組み合わせ方
ここまで5つの媒体について詳しく見てきました。では、実際にどのように媒体を使い分ければよいのでしょうか? 答えはシンプルです。採用したい人材の層に合わせて媒体を選ぶ——これが基本原則です。
以下の表で、求める人材層ごとの推奨媒体を整理しました。
| 採用ターゲット | 推奨媒体(優先順位順) |
|---|---|
| マネージャー層 | 人材紹介 > リファラル |
| ミドル層 | 求人サイト > 人材紹介 > リファラル |
| スタッフ層 | 求人サイト > リファラル > SNS > ジョブフェア |
| 専門職 | 人材紹介 > リファラル |
| 新卒 | ジョブフェア > 求人サイト > SNS |
この表を見ると、媒体のミスマッチがいかに非効率かがよく分かります。例えば以下のようなケースです。
NG例1:マネージャーを採用したいのに求人サイトだけに頼っている → マネージャー層は求人サイトをあまり利用しないため、適切な候補者が集まらない
NG例2:スタッフを大量採用したいのに人材紹介だけを使っている → 紹介手数料が膨らみ、採用コストが過大になる。求人サイトやリファラルを併用すべき
このような媒体選定のミスマッチは、多くの日系企業で実際に起きています。定期的に「今使っている採用媒体は、採用したい層に合っているか?」を確認することが重要です。
今日からできる具体的なアクション
ここまでの内容を踏まえて、採用責任者の方が今日から実践できる2つのアクションをご提案します。
アクション1:自社が使っている採用媒体を確認する
まずは、自社が現在どの採用媒体を使っているのかを洗い出してください。求人サイトだけなのか、人材紹介も活用しているのか、リファラル制度は機能しているのか——現地の人事担当者に確認すれば、すぐに把握できるはずです。
多くの日系企業では、前任者が使っていた媒体をそのまま継続しているケースが多く、採用戦略の見直しがされていないことが少なくありません。まずは現状把握から始めましょう。
アクション2:媒体と採用したい人材層が一致しているか確認する
次に、使っている媒体が採用ターゲットに適しているかを検証します。以下のチェックリストを参考にしてください。
- マネージャーや専門職を採用したいのに、求人サイトだけに頼っていないか?
- スタッフを採用したいのに、高額な人材紹介会社だけを使っていないか?
- リファラル制度は整備されているか? 社員に周知されているか?
- SNSやジョブフェアなど、コストを抑えられる選択肢を検討しているか?
「うちの会社、ミスマッチしているかも」と気づけたら、それだけで採用活動が大きく改善する可能性があります。媒体の見直しは、追加コストをかけずにできる即効性の高い施策です。
まとめ:採用媒体は「層」で選ぶ
本記事では、タイにおける採用媒体の種類と選び方について詳しく解説しました。重要なポイントを以下にまとめます。
- 採用媒体にはそれぞれ得意な人材層がある:求人サイトはスタッフ層、人材紹介はマネージャー・専門職、リファラルは全層に対応など、媒体ごとに集まる層が明確に異なります
- 採用したい層に合わせて媒体を選ぶことが最重要:マネージャー層には人材紹介、スタッフ層には求人サイトやリファラルといった使い分けが、採用成功の鍵を握ります
- 費用と社内工数のバランスを理解する:安い媒体ほど社内工数が大きく、高い媒体ほど工数が少ない傾向があります。自社のリソースに応じた最適な組み合わせを選びましょう
- 定期的な見直しが必要:前任者が使っていた媒体をそのまま継続するのではなく、採用ターゲットの変化に合わせて媒体を見直すことで、採用効率が大きく向上します
もし本記事を読んで「自社の媒体選定を見直したい」と感じていただけたなら、それだけでも大きな一歩です。採用媒体の最適化は、コストと時間の両方を改善できる、即効性の高い施策なのです。
次回の記事では、書類選考プロセスについて詳しく解説します。実は、多くの日系企業で書類選考が最大のボトルネックになっており、日本人管理者がその原因に気づいていないケースが多いのです。採用プロセスをさらに効率化したい方は、ぜひ次回もご覧ください。
RCXグループでは、タイ人および日本人の採用支援を行っています。採用媒体の選定や求人票の作成、選考プロセスの設計など、タイでの採用活動全般についてお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。
