アフターコロナにおけるのWFH(在宅勤務)の動向は!?
アフターコロナ時代に入り、WFH(在宅勤務)の継続か廃止かについて、企業間での様々な議論と葛藤が存在していると思います。
そこで、弊社では、フィリピン人2,872名を対象に、在宅勤務に関するアンケート調査を実施しました。
特筆すべき点は、企業側の意見ではなく、フィリピン人従業員側の視点からの意識調査であることです。
弊社が第三者機関の立場で、客観的な調査を2,862人に実施し、フィリピン人のWFHに対する本音を聞くことができ、興味深い調査結果となっております。
<アンケート概要>
調査内容:WFH(在宅勤務)に関する実態調査
調査方法:弊社インターネットによるアンケート調査
調査期間:2023年6月6日〜6月17日
調査対象層:フィリピン人ビジネスパーソンの20代〜50代の男女
回答数:2,862名
※なお、本アンケートの回答者の勤務する企業の親会社の国籍は以下となります。
・フィリピン企業:63%
・欧米企業:14%
・日本企業:10%
・その他:14%
質問1:あなたの会社では現在週何回のWFHがありますか
- WHF導入なし:61%
- 週1回のWFHあり:6%
- 週2~3回のWFHあり:14%
- 週4回のWFHあり:4%
- 週5回のWFHあり:15%
※有効回答数2,606人(WFH不可の職種は集計から除く)
WFHが可能な職種に絞り、集計した結果、61%の回答者がリモートワークを行っていない(フル出社)という状況が明らかになりました。
また、企業の国籍別にクロス分析をしてみるとフィリピン企業、日系企業、中国企業などアジア企業はWFHを導入している企業が30%前後であることに対し、欧米系の企業では、80%ほどWFHを導入しているということが判明しました。
質問2:あなたの理想的なWFHの日数は週に何日ですか
- WHF必要なし:14%
- 週1回のWFHを希望:8%
- 週2~3回のWFHを希望:37%
- 週4回のWFHあを希望:8%
- 週5回のWFHを希望:33%
※有効回答数2,477人(WFH不可の職種は集計から除く)
質問1の回答では、61%のフィリピン人がWFHがない就業状況となっている一方、86%のフィリピン人がWFHを希望しているという結果になっております。
フィリピン人の働きたいスタイルと実際の就業状況との間に大きなギャップがあることが浮かび上がっております。
質問3:WFH勤務時の仕事の生産性は、出社時と比較し、改善しましたか
- 改善した:57%
- 少し改善した:15%
- 変わらない:21%
- 少し下がった:6%
- 下がった:1%
※有効回答数2,265人(WFH不可の職種は集計から除く)
リモートワークを経験したフィリピン人従業員に対し、WFH時の生産性について質問した結果、約72%が生産性が向上したと回答しています。一方で、生産性が下がったと感じる人はわずか7%に留まりました。
この結果の背後には、フィリピンでの通勤時間の長さが影響していると考えられます。個別の回答理由からは、通勤による体力の消耗と時間の消費が目立ちました。
それゆえ、通勤に使う時間とエネルギーを仕事に充てることで、生産性の改善が見込めるという意見が多く寄せられました。
質問4:WFHのある会社とない会社がある場合、他の条件が全て同じだった場合、以下の2つの条件下でどちらの会社を選びますか
- A社:フル出社の会社
B社:WFH週3回+A社より5%給与が低い会社 -
76%が給与が5%低くてもWFHがあるB社を選ぶと回答
- A社:フル出社の会社
B社:WFH週3回+A社より5%給与が低い会社 -
→58%が給与が10%低くてもWFHがあるB社を選ぶと回答
- A社:フル出社の会社
B社:WFH週3回+A社より5%給与が低い会社 -
→40%が給与が20%低くてもWFHがあるB社を選ぶと回答
- A社:フル出社の会社
B社:WFH週3回+A社より5%給与が低い会社 -
→35%が給与が30%低くてもWFHがあるB社を選ぶと回答
上記の回答結果から、30%給与が低くても週3回のWFHがある会社を選ぶ方が35%います。
それゆえ、この層のフィリピン人をWFHなしで採用しようとした場合、約1.5倍以上の給与を払う必要があると言えます(1/(100%-35%)=1.54)。
まとめ
フィリピンの労働市場において、通勤時間の長さから生じるリモートワーク(WFH)への強い希望(81%)と、企業側のWFH導入率の低さ(39%)というギャップが浮かび上がりました。
さらに、72%の従業員がWFHによって生産性が改善したと感じているというデータも明らかになりました。
企業側はマネジメントやコミュニケーションの難しさから生産性の低下を懸念する中、この結果は意外なものと言えるかもしれません。
優秀な人材は、採用市場で複数のオファーを獲得する中、WFHの有無が給与水準とともに企業を選ぶ重要な判断基準の一つになっています。
欧米系企業は、高給与であるとともにWFHの導入率も高く、優秀な人材を獲得するためには、彼らとの競争を避けることができません。
一部の企業では、経営方針や業務上の理由などでWFH導入が難しい状況もあるでしょう。
これらの企業では、何か別の形で優秀な人材を引きつける特徴を打ち出していく必要があるかもしれません。
この調査結果が、採用活動の参考になることを期待し、WFHの導入についての議論と検討を促進することができれば幸いです。